個人事業主や法人の代表者が融資を受けるのに、有力な選択肢の1つである「ビジネスローン」。ほかの事業者向け融資よりも金利が高い反面、審査が比較的スピーディで早く融資を受けられる点にメリットがあります。
ただ、「審査を通過できるか不安……」と考える方もいるかもしれません。ビジネスローンは審査が甘いとネットで書かれていることもありますが、簡単に融資を受けられるものなのでしょうか。
本記事では、ビジネスローンの概要や審査を通過しやすい商品の特徴、ノンバンク(消費者金融)と銀行のビジネスローンの中でも特におすすめできる商品を紹介していきます。
審査落ちしやすい人の特徴や、ビジネスローン以外の融資方法まで幅広く紹介していくので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
ビジネスローンとは、事業に使用するための資金の融資を専門にしたローン商品のことです。
一般的なローン商品として知られるカードローンとは、以下のような違いがあります。
ビジネスローンは法人や個人事業主向けのため、事業を営んでいない人は融資の対象には含まれません。借りたお金は新規事業の立ち上げや設備投資、運転資金といったようにさまざまな事業に利用できます。
ビジネスローンは、借入の方法によって大きく2つの種類に分かれています。
どちらを選ぶかで、追加の借り入れの可否や返済できなくなるリスクが異なるため、申し込む前にそれぞれのサービスの違いを明確に把握しておきましょう。
極度額型は別名で「カードローン型」とも呼ばれており、個人向けのカードローンに近い性質を持っています。
契約時に契約極度額(利用限度額)が設定され、利用限度額がゼロになるまでは何度でも借入できます。追加の借入の際も、追加の申し込みや審査は不要です。
極度額がゼロになると追加の借り入れはできなくなりますが、返済した元本の分だけ極度額が復活してまた借入できるようになります。
極度額が残っている限り自由に借入できるので、資金不足の際に気軽に借入できる点がメリットです。
一方で、何回も借りているとその分だけ完済が遠のいてしまうデメリットもあります。
証書型は、契約時に一括で資金を借入して、あとはコツコツと返済していく方法です。個人向け融資でいえば「フリーローン」が該当します。
1回借りたあとは返済するだけなので、毎月確実に借入残高が減っていく点にメリットがあります。借りすぎを防ぎ、計画的に完済を目指したい個人事業主や法人代表者におすすめです。
また、一般的には証書型の方が低めの金利が設定されている特徴もあります。
ただし、極度額型と違って、審査なしで追加融資を受けることはできません。もう一度借りるには、再度申し込みと審査をクリアする必要があります。
極度額型も証書型も一長一短なので、どのような資金の集め方をしたいかによって申し込むローンを変更するのが良いでしょう。
事業を立ち上げたばかりの個人事業主の方のなかには、資金繰りに苦労していて「少しでも早く資金を調達したい」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そのように悩んでいる人が気になるのが「審査の難易度」でしょう。審査が甘いローンがあれば簡単に借りられるため、スピーディに資金不足の解消ができるはずです。
では、個人事業主でも借りられるビジネスローンの審査は「甘い」「簡単」といえるのでしょうか?
【結論】
審査が甘いと断言できるビジネスローンはないが、プロパー融資と比較して相対的に審査は柔軟に行われる傾向がある
ビジネスローンは審査が甘いという印象を持っている方もいるかもしれませんが、申告した内容については厳格に審査が行われます。よって、「審査が甘い」「審査がない」という商品は存在しません。
ネットで「審査が甘い」とされるような商品でも、返済能力や事業を始めてからの年数などの条件が満たされないと、あっさり審査落ちになるでしょう。
ただ、事業資金を借りるローンの1種類である「プロパー融資」と比較して相対的に審査が柔軟に行われるとされます。
プロパー融資とは、保証会社などを挟まず、銀行が直接事業用の資金を貸付けする融資のことで、もし返済不能になると銀行が損失を被ることになります。よって審査は厳しく、慎重に行われるのが一般的です。
一方、ビジネスローンでは保証会社がつくため、返済に関して銀行のリスク負担が小さくなっています。
その点だけみると、プロパー融資と比較すれば審査は柔軟に行われると考えられるでしょう。
金融機関や貸金業者のローンは審査基準が公表されていません。
よって「審査が甘い・厳しい」と判断することはできませんが、一般的に審査が柔軟に行われる傾向のローンには一定の特徴があります。
少しでも審査通過の可能性を高めるなら、これから紹介する4つの特徴を満たしたビジネスローンを選びましょう。
個人向けのカードローンでも言われていることですが、一般的に金利が高い方が審査は柔軟に行われる傾向があります。
金利が高い分だけ多くの利息を受け取ることで、貸し倒れリスクをカバーできているため、というのが理由として考えられるでしょう。
一般的に銀行のビジネスローンの上限金利は15.0%程度、ノンバンク(消費者金融)が18.0%であることを考えると、審査を通過することを重視するならノンバンクを選ぶのがおすすめです。
ビジネスローンの選択肢として、大手の銀行や消費者金融だけでなく、中小規模の消費者金融を検討するのもアリです。
中小の消費者金融のターゲットには「大手の審査に落ちた人」が含まれており、大手とは異なる独自の審査体系を確立していることがあります。
また中小の消費者金融は大手よりも「金利設定が高め」「融資限度額が低め」という傾向にあるというのも、相対的に審査に通過しやすい要因といえます。
仮に大手で審査落ちしたとしても中小規模の消費者金融なら審査を通過できる可能性は十分あるでしょう。
ビジネスローンは一般的に第三者の保証人が不要であり、担保なしで借入することができます。
一方、なかには不動産を担保にして借入できる商品もあります。不動産を担保にすれば万が一返済できなくなっても不動産を売却すれば融資金額を回収できるので、返済能力が担保されて審査を通過しやすくなります。
ローンに申し込む前に、そのローンが「極度額型」か「証書型」かを確認してみましょう。
極度額まで何度も借入できる極度額型よりも、1回借りたあとは返済するだけの「証書型」の方が、一般的に審査難易度は低めとされています。
これは、金融機関・貸金業者からみて貸し倒れのリスクが極度額型よりも低いからですね。
ビジネスローンには、提供元が「ノンバンク(消費者金融)」の商品と「銀行」の商品があります。
数あるビジネスローンのなかでも、ノンバンク(消費者金融)が提供しているおすすめのローンをご紹介します。
セゾンファンデックスのカードローンは、利用可能額の範囲内で何度でも利用できる、「個人事業主専用のローン」です。
事業に関することなら開業資金を除いて利用できるので、「銀行融資までのツナギにする」「売上金が入ってくるまでの運転資金にする」という使い方ができます。
ATMの利用手数料が無料で土日・深夜でも借入できるので、資金がショートした際にすぐ借入できるのが大きな魅力といえます。
インターネットからの振込を使えば、原則24時間最短数十秒で振り込んでもらうことも可能です。
融資対象 | 個人事業主 |
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申し込みの条件 |
・申込時、20歳~70歳までであり、毎月定期収入のある、電話連絡可能な個人事業主 |
資金使途 | 事業性資金(開業資金を除く) |
融資までのスピード | 口座振替依頼書を提出後、最短1週間でカードが届く |
金利(実質年率) | 6.5%~17.8% |
利用限度額 | 1万円~500万円 |
返済期間 | 1~60ヶ月・1~60回 |
担保・保証人 | 不要 |
ニチデンは、大阪・奈良・和歌山・滋賀・三重・京都・兵庫で事業を展開する消費者金融です。
自営業の人の場合、要審査ではありますが、年収3分の1を超える融資を受けることもできます。今まで個人のカードローンを利用していて、年収3分の1未満の借入しかできなかった人でも、効率的な借り入れができるでしょう。
返済期間も最長20年と長いため、収入に合わせて柔軟な返済計画がたてられます。
また、中小消費者金融としては破格の「最高1億円」の融資も相談可能です。
融資対象 | 個人事業主/法人 |
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申し込みの条件 | - |
資金使途 | 事業資金 |
融資までのスピード | 14時までの申込で最短即日融資も可能 |
金利(実質年率) | 4.8%~17.52% |
利用限度額 | 1億円迄(要審査) |
返済期間 | 20年以内(1ヶ月~240ヶ月) |
担保・保証人 |
・ニチデンが必要と認めた場合は保証人又は、不動産担保の用意が必要 |
ビジネスパートナー「スモールビジネスローン」は、法人・個人事業主のどちらでも申し込めるタイプの商品です。
資金使途は原則自由で保証人も担保も必要なく、来店不要での借入も可能と利便性の高いサービスになっています。事務手数料の負担も必要ないため、コストを最低限に抑えながら借入が可能です。セブン銀行ATMを利用すれば、ほぼ24時間365日いつでも借入に利用できます。
マイページにログインすることでいつでも利用状況の確認ができることから、返済管理も簡単です。
融資対象 | 個人事業主/法人 |
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申し込みの条件 | 満20歳〜満69歳まで |
資金使途 | 事業資金の範囲内で自由 |
融資までのスピード |
最短5日 |
金利(実質年率) | 9.98% 〜 18.0% |
利用限度額 | 50万円 〜 500万円 |
返済期間 |
借入時残高スライド元金定額リボルビング返済 |
担保・保証人 |
不要 |
オリエントコーポレーション「CREST for Biz」は、個人事業主の方専用として提供されているローンです。
個人向けカードローンと違って年収3分の1までの総量規制の対象外であるため、事業に必要とする金額を借り入れることができるでしょう。
また、eオリコサービスを利用することで請求額や明細書が自宅に郵送されることがなくなります。利用明細をファイル形式で保存でき、必要に応じてデータ管理できるため、会計処理にも役に立つでしょう。
返済の仕方は利用残高に応じて、毎月の返済金額が最小限に設定できる「残高スライド返済コース」、毎月の返済金額を千円単位で任意に設定できる「定額返済コース」の2種類。利用者が返済方法を選べるので、自身に都合の良い方法で返済しましょう。
融資対象 | 個人事業主 |
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申し込みの条件 | - |
資金使途 | 事業性資金 |
融資までのスピード | - |
金利(実質年率) | 6.0%~18.0% |
利用限度額 | 最高300万円 |
返済期間 |
返済期間:1ヵ月~159ヵ月 |
担保・保証人 | 不要 |
キャレント「スーパーローン」は、最短即日融資にも対応している法人向けのローンです。
事業資金専用のローンではありますが、保証人・担保は不要です。100万円以上の借入なら上限金利15.0%という低金利で借り入れることも可能です。
申し込みは最短3分で完了するうえに最短即日融資も可能であるため、「今すぐ資金調達したい」と考えている法人におすすめできます。
返済方法について「振込で返済」「口座振替で返済」の好きな方から選択できる点も特徴です。
融資対象 | 法人 |
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申し込みの条件 | 20歳~65歳 |
資金使途 | 事業資金の範囲内で原則自由 |
融資までのスピード | 平日14時までに手続きすれば最短当日に振込も可能 |
金利(実質年率) | 7.8~18.0% |
利用限度額 | 最大500万円 |
返済期間 | 最長120ヶ月(元金均等返済方式) |
担保・保証人 | 不要 |
「レイクdeビジネス」は、大手消費者金融のレイクが提供している個人事業主向けのローンです。
レイクの主力商品である個人向けカードローンは総量規制の対象ですが、レイクdeビジネスなら年収3分の1を超える融資にも対応しています。
自動契約機で19時30分(日曜日は19時)までに手続きを完了させれば最短即日での振込融資が可能なので、資金繰りに苦労している個人事業主の方にこそおすすめです。
開業資金の融資には対応していないものの、運転資金で困っている方なら有力な候補になるのではないでしょうか。
融資対象 | 個人事業主 |
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申し込みの条件 | 満20歳~70歳 |
資金使途 | 事業資金(開業資金は含まない) |
融資までのスピード | 自動契約機で19時30分(日曜日は19時)までに手続きを完了させると、最短で即日の借入も可能 |
金利(実質年率) | 4.5%~18.0% |
利用限度額 | 1万円~500万円 |
返済期間 | 最長10年・最大120回 |
担保・保証人 | 不要 |
AGビジネスサポートは、アイフルビジネスファイナンスが名称変更した貸金業者です。
不動産担保ローンや事業者向けカードローン、不動産投資ローン、売掛債権ファクタリングなど事業に関するあらゆるローンを展開しています。
中でも「事業者向けビジネスローン」は、最短即日融資が可能で最高1,000万円までの融資に対応したローンです。「事業拡大」「決算時などのまとまった事業資金」などのニーズや一時的なつなぎ資金など資金繰りに利用できます。
また、カードローンのような「極度額型」ではなく「証書型」であり、借りたあとは返済のみ進めることになるという点も特徴的です。追加で借入することはできない反面、返済を続けることで確実に借入残高を減らすことができるメリットがあります。
融資対象 | 個人事業主/法人 |
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申し込みの条件 |
法人の利用者:75歳まで |
資金使途 | 事業資金の範囲内なら自由 |
融資までのスピード | 最短即日融資も可能 |
金利(実質年率) | 3.1%〜18.0% |
利用限度額 | 50万円〜1,000万円 |
返済期間 |
元利均等返済:最長5年(60回以内) |
担保・保証人 | 不要 |
個人事業主が申し込むならノンバンクがおすすめですが、ノンバンク以外に「銀行のビジネスローン」も選択肢に入ります。法人も同様で、銀行系ビジネスローンも視野に入れておくとニーズに合う商品と出会えるでしょう。
ここからは、おすすめの銀行系ビジネスローンを紹介します。
東京スター銀行「スタービジネスカードローン」は、無担保・保証人なしで事業資金を調達できる銀行系のローンです。
銀行系らしく上限金利は14.5%と低く、利用限度額が最高1,000万円もあります。
申込から契約まで一切の来店が不要であり、自宅や会社にいながら手続きを完了させられる点も魅力です。
全国どこからでも申し込みができて審査回答も最短5日とスピーディであるため、「早く融資を受けたい。それだけではなく、消費者金融より安い金利が良い」という希望も叶えられるでしょう。
融資対象 | 個人事業主/法人 |
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申し込みの条件 |
・申込時の年齢が満20歳以上、かつ契約時の年齢が満69歳以下 |
資金使途 | 事業性資金 |
融資までのスピード | 最短5日で審査回答 |
金利(実質年率) |
4.5%~14.5% |
利用限度額 | 50万円~1,000万円 |
返済期間 | - |
担保・保証人 | 不要 |
GMOあおぞらネット銀行「あんしんワイド」は、資金調達に必要な資金をいつでも借りられる法人向けのローンです。
最大の特徴は金利の低さで、適用金利はなんと「0.9%~14.0%(実質年率)」。今回紹介したローンのなかでも特に低い金利設定になっています。とにかく返済総額を減らすことを重視するのであれば有力な候補になるでしょう。
また、証書型ではなく、利用限度額の範囲内で何度でも借入できる「極度額型(融資額型)」という点も特徴です。限度額が余っていれば何度でも借入できるので、資金繰りがピンチになった時のための保険として契約しておくと便利でしょう。
また、ビジネスローンは一般的に創業1年以上の期間がないと審査通過は難しいですが、「あんしんワイド」では創業初年度でも融資を受けることが可能です。
融資対象 | 法人 |
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申し込みの条件 |
・GMOあおぞらネット銀行の法人口座(円普通預金口座)を保有していること |
資金使途 | 事業性資金 |
融資までのスピード | - |
金利(実質年率) | 0.9~14.0% |
利用限度額 | 最大1,000万円 |
返済期間 | - |
担保・保証人 | 不要 |
りそな銀行|りそなビジネスローン「活動力」は、大手銀行の一角である「りそな銀行」が提供するローンです。
ビジネスローンの中には創業資金用の融資には対応していない商品もありますが、「活動力」は創業資金を含めて借入金を利用することができます。
そのほか「原則、来店不要」「担保・保証人も不要」「必要なときにいつでも引き出して利用できる極度額型」と利便性の高いサービスが揃っています。
融資対象 | 個人事業主/法人 |
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申し込みの条件 |
以下の「すべての条件」を満たす法人または個人事業主 |
資金使途 | 事業資金(創業資金を含む) |
融資までのスピード | 最短数日 |
金利(実質年率) | 年6.0%、年10.0%、年14.0% |
利用限度額 | 10万円以上500万円以下 |
返済期間 | - |
担保・保証人 |
・個人事業主は不要 |
ビジネスローンは審査が甘い・緩いわけではなく、申告した内容がしっかり審査されます。よって、申し込んだとしても審査落ちする人も少なくありません。
審査落ちを避けるためには「審査落ちする人に共通する特徴」を把握しておき、自身がそれに当てはまらないことを確認してから申し込むことが大切です。
審査落ちする人に共通する原因としては、以下のようなものがあります。
銀行のプロパー融資よりは柔軟な審査が期待できるビジネスローンですが、返済能力のない事業者に融資してくれるほど甘い審査ではありません。
民間の金融機関・貸金業者の商品である以上は必ず利益を回収しなければいけないため、利益を追求することは当然といえます。
返済能力がないと判断されると、審査落ちする可能性が高くなることは知っておきましょう。
もちろん、赤字だからといって絶対に審査落ちとなるわけではありません。事業計画書を提出して将来収益を得る計画をプレゼンし、ローン提供側が事業の将来性を感じてくれれば融資を受けられる可能性もあります。
ただ、明確なプランもなく「赤字だけどお金をかしてください」ということでは審査落ちしてしまうでしょう。
ビジネスローンに申し込んだ際にフォームに入力した内容に間違いがあると、審査通過に悪影響があるため、注意が必要です。
情報の間違いや入力漏れであれば審査の際に確認の電話が入る場合がありますが、確認なしで審査に落される可能性もあります。
また、当然ですが、審査を通過しようとして虚偽の申告をすることは絶対にNGです。
年収や事業年数、他社借入額などの情報は、提出書類や信用情報機関に記録された信用情報を辿ることで簡単にチェックすることができます。
虚偽の記載であるということが判明すると、「嘘をつく人は信用できない」という評価になってしまい、まず間違いなく審査落ちになるでしょう。
ビジネスローンに申し込んだ法人代表者や個人事業主が過去に返済の延滞や自己破産などの「金融事故」を起こした記録(異動情報)が残されている場合、基本的に審査を通過することはできません。
税金を滞納している事実が明らかになった場合も審査落ちの可能性が高まるため注意が必要です。
税金を滞納しているということは、税金を納められるだけの利益を得ていない=返済能力がないと判断されることになります。
返済能力の証明にもつながる重要な事項であるため、納税義務のある税金は間違いなく納めましょう。
ビジネスローンの審査では、起業してからどれくらいの年数が経過しているかも重要なチェックポイントです。
ビジネスローンによって基準は異なるものの、起業して1年も満たない場合にはスコアリング審査で自動的にはじかれる可能性が高くなります。
これは、起業後1年未満では、早期に廃業する可能性があると判断されるためです。
最低で1年以上は事業を継続してから申し込みましょう。
ビジネスローンの審査では基本的に以下の書類の提出が求められます。
決算書は企業の通信簿のようなもので、貸金業者や銀行がチェックすることで返済能力や信用の良し悪しが分かります。
ただ、ビジネスローンのなかには決算書が不要で申し込みできるケースもあります。
分かりやすい例が「ビジネスローンを専門に運営している業者」のビジネスローンです。
そのような業者はビジネスローンを融資しないと利益を出すことができないため、決算書がなくても融資を受け付けてくれる場合があります。
ビジネスローンの審査で決算書が必要とされている理由は、以下の2つが考えられます。
ビジネスローンの審査で決算書を確認する最大の目的は、事業の内容や実態を把握するためです。
決算書には1年間の事業の成果や財務状況が事細かに記載されており、さながら学校の通信簿のようになっています。
一方で金融機関は業種ごとの決算情報をデータベースに保管しているため、比較することで事業の実態が相場と比較して優秀かを調べられます。
また、決算書では、事業の収益性・財務状況・資産・借金なども確認することができます。
個人向けのカードローンで「他社借入額」「年収」が返済能力の審査に利用されているように、法人の審査では決算書に記載された財務状況や資産などから返済能力を明らかにしています。
決算書不要のビジネスローンを利用することには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【決算書不要のカードローンのメリット】
審査の一環として決算書を確認されることで、「黒字経営か赤字経営か」が瞬時に判明してしまうため、それを避けたいと考える人もいるかもしれません。決算書不要のカードローンなら、仮に赤字経営だったとしても、金融機関に知られずに融資を受けられる可能性があります。
また、そもそも決算書を用意する必要がなくなるため、手続きが簡略化される点もメリットです。
ただし、決算書不要のビジネスローンには、以下のようなデメリットがあることも理解しておきましょう。
【決算書不要のカードローンのデメリット】
決算書が不要なビジネスローンの場合、決算書が必要なビジネスローンと比較して金利が高めの傾向にあります。これは、決算書で会社の経営状況が確認できない分、金融機関にとっては貸し倒れのリスクが上がってしまうことが原因として考えられるでしょう。
また、決算書の提出が不要だとしても、代わりに別の書類が必要なこともあります。
どの書類の提出を求められるかは金融機関・貸金業者によって異なるので、見落としが無いように事前に確認してください。
どうしても資金調達をしたいのに、ビジネスローンの審査を通過できなかった、あるいは単純に「参考までに他の融資方法がないか知りたい」という人もいるでしょう。
個人事業主が融資を受ける方法はビジネスローンだけでなく、以下のような方法もあります。
ファクタリングは、売掛債権を事業者に売却することで、債権の期日よりも前に資金を集める手法のことです。
これまで紹介してきたビジネスローンのような「融資」ではなく、あくまで売買契約に基づいているという違いがあります。
売掛先の企業の信用が加味されることで、ファクタリングを利用した企業が赤字でも利用できる点がメリットです。過去に返済遅延などの金融事故を起こした事業者であっても、すでに確定した債権を売り渡すので、ファクタリングなら利用できる可能性があります。
ただし、手数料は差し引かれてしまうので、本来得られるはずだった満額を受け取ることはできません。
ビジネスローンは銀行や消費者金融といった民間の金融機関から融資を受ける方法でした。
それ以外にも、政府系金融機関や地方公共団体から融資を受けることも可能です。
代表例が「日本政策金融公庫」の融資です。たとえば新規開業資金という融資では、以下の条件の融資を受けることができます。
【日本政策金融公庫・新規開業資金】
利用できる方 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
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融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 |
設備資金:20年以内(うち据置期間:2年以内) |
民間と違って営利を目的にしておらず、地域の活性化を目的にしていることから、民間の融資と比較して低金利で融資を受けられるメリットがあります。
新規開業資金のほかにも「新創業融資」「中小企業経営力強化資金」など、さまざまな融資の種類があるので、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
有担保ローンは、不動産など何らかの担保があることで、無担保の商品よりも低金利かつ高額な資金の融資を受けることができる方法です。
無担保のビジネスローンでは万が一返済不能になった場合のリスクがありますが、担保があればそれを売却することで損失を回避することができます。
通常のビジネスローンでは融資額が足りなかったり、金利水準に満足できなかったりする場合に検討すると良いでしょう。
ただし、返済できないときは担保を売却して返済に充てることになるため、十分に注意して返済計画を立てる必要があります。
最後に、個人事業主向けのビジネスローンに関して、よくある質問と回答をまとめました。
ビジネスローンの場合、「個人のブラック」「法人のブラック」と呼ばれる状態がそれぞれあります。
個人のブラックは、信用情報に過去の返済延滞や強制解約、自己破産などの記録が残った状態のことです。法人のブラックは、主に「債務超過となっている状態」を指します。
個人でも法人でも、いわゆるブラック認定された人の場合は原則としてビジネスローンの審査は通らないと思っていた方が良いでしょう。
ビジネスローンの審査を通過したいなら、まずブラック状態の解消を目指すべきです。
ビジネスローンによっては、借り換えに対応していることもあります。今借りているローンの金利が高い場合、より金利が低い金融機関のビジネスローンに借り換えることで利息負担を抑えることが可能です。
ただし、すでに借りている金額が新しく借りているビジネスローンの融資額を上回ると完済することができません。新しくビジネスローンに申し込む前に、融資可能額は絶対に確認しておいてください。
ビジネスローンの審査に落ちた場合、急いでいるとしても闇雲に他社に申し込むことは避けてください。審査落ちするということは、必ず何らかの原因があるはずです。その原因は金融機関・貸金業者から教えてもらうことはできないので、自分でその理由を見つける必要があります。
審査基準は金融機関・貸金業者ごとに異なるので、審査を通過できるかどうかは確実には分かりません。少しでも審査通過の可能性を上げるためにも、まずは自社の事業や代表者個人の信用情報など、見直しができる部分で改善できる点がないか確認しましょう。
ビジネスローンの審査基準は公開されていないため、甘いと断言することはできません。ただ、銀行が直接融資をするプロパー融資と比較すれば、相対的に審査が柔軟に行われるでしょう。
ただ、法人代表者や個人事業主なら誰でも融資を受けられるほど甘い審査ではありません。「返済能力が証明できない」「起業してから1年未満」「過去に金融事故を起こした」といった場合は、審査落ちになる可能性が非常に高いです。
審査に落ちる人の特徴や審査通過のコツを調べ、融資を受けられるように準備を進めていきましょう。